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'09 Jan. 31 11:20 PM

偶然

予期もしないところで

It continues here.

『ここはお国を何百里、離れて遠き満州の、敵を散々殺したる、友はお国の石の下。』
軍歌であることは間違いない。
そして、満州という地名が出てくるということは、
この戦争は1931年の柳条湖事件に端を発する満州事変、
1937年の満州鉄道爆破事件以降の日中戦争、
そして太平洋戦争を指すことが容易に推測できる。

この軍歌の歌詞が完全に合っているのか、この短さで全てなのかは定かではない。
そして何よりも、なぜ私がこの歌を知っているのかも、
私にはそのきっかけすらも思い出す手立てがない。

先週インフルエンザで家での軟禁状態が続き、時間をもてあましているときに、
秘書が所有している数多くの書物から私が手に取ったのは推理小説。
島田荘司なる人物の文章には、横浜が良く登場し、
横浜に来て20年になる私にはとても読んでいて嬉しくなる場面が多い。

以前お客さんが言っていたことを思い出す。
『横浜出身の人は、道路の標識に横浜の字が出るだけで喜ぶ。それは他の土地の出身者が
自分のゆかりの地名を見るよりも顕著な喜び方で、私はそれが好きではない。』

内容的にはそんなことを言っていた。私は横浜出身ではない。
出生地に関しては、今年の、つまり生まれてからもう既に40年近く経った今年の正月に
母から始めて聞いた。東京で生まれたには違いないが、
それは病院が東京であっただけで、
そのときに住んでいたのは千葉だったと。

それから20年後に横浜に移り、だから私には、
横浜は「誰にも負けない、かかってきやがれ」的な、
けんか腰でやってきた勝負の場所であった。

その横浜に対して、しかし今の私は出身者のような誇らしさを感じている。
やはりこの土地は好きだ。そして嫌悪感を抱かせてしまうという文字を見るだけで喜ぶ
心理状態を、私は理解できる。

インフルエンザも治り、3冊目に入った小説を今日から読み始めた。
暗闇坂という、戸部に実在する地名を舞台にした推理は、まだ序盤であるが、
馬車道、伊勢佐木町、黄金町など、かって知ったる場所が名を連ねるのが嬉しい。

そしてその40頁に突然その歌詞は現れた。

最近始めた電車通勤で、京浜東北線に乗ってすぐ、桜木町駅を手前にした所で
その歌詞を目にしたとき、訳もなく回りを見渡してしまった。

タイトルや作家を知りたいわけではないが、その驚きは喜びとなって続いている。
何気なく読み始め、その後秘書の薦める本を読んで行っている昨今。

しばらくはこの作家の作品を読み続けるのであろう。

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